2 段階式三相太陽光連系インバータの Simulink 制御設計

本シミュレーションモデルは、2 段階構成の三相光伏并网インバータ制御を Matlab/Simulink 環境で実装したものです。システム構成は、光伏アレイから Boost コンバータを経て直流リンクへ接続し、その後三相インバータおよび LCL フィルタを介して系統連系を行います。制御架构には直流母线電圧を安定化させる電圧外輪と、電流指令を追従する電流内輪からなる二重閉ループ制御を採用しています。

二重閉ループ制御において重要なのは、各ループの PI パラメータ調整です。外輪は直流母线電圧の維持を担い、内輪は高速な電流応答を担います。安定性を確保するため、外輪の応答帯域は内輪よりも 2〜3 桁程度遅く設定する必要があります。例えば、内輪帯域を 500Hz に設定する場合、外輪は 5Hz 程度に抑えるのが適切です。母线電圧の振動が発生した事例では、外輪の積分ゲイン过大が原因であるケースが多く見られます。

% 電圧制御ループゲイン
ctrl_gain.voltage.p = 0.05;
ctrl_gain.voltage.i = 2.0;

% 電流制御ループ(準 PR 制御器)
ctrl_gain.current.p = 5.0;
ctrl_gain.resonance = 500;
omega_grid = 100 * pi;  % 基本波角周波数(50Hz)

LCL フィルタの設計においては、パラメータ選定を誤ると共振現象が発生しやすくなります。経験則として、フィルタインダクタンスは総インピーダンスの 5%〜10% 程度とし、阻尼抵抗は臨界阻尼法に基づいて算出します。系統インピーダンス変動に対し固定パラメータでは不安定化する恐れがあるため、コンデンサ支路に動的阻尼制御を追加することで安定性を向上させています。

SPWM 変調部では、特にスイッチング周波数が 5kHz 未満の場合、キャリア比の選定に注意が必要です。シミュレーション効率化の観点からは、スイッチング動作の詳細観測が不要であれば、PWM 生成モジュールを平均値モデルに置き換えることで、計算速度を 5 倍以上向上させることが可能です。

% PWM 変調パラメータ
pwm_config.sw_freq = 2000;  % スイッチング周波数 2kHz
pwm_config.mod_depth = 0.9; % 変調率(余裕率 10%)

MPPT アルゴリズムの比較検証において、擾動観察法は電導増分法に比べ出力功率の振動幅が約 30% 大きくなる傾向がありますが、雲量変動のある環境下では安定性が高い結果を示します。日照強度が急変する際、電導増分法の dP/dV 計算では誤判定が生じやすいため、変化率リミッタの導入が有効です。

高調波歪み率(THD)が基準値を超える問題が発生した場合、鎖相環(PLL)の帯域設定が影響している可能性があります。設計ガイドラインとして、PLL 帯域は系統周波数変動範囲の約 10 倍に設定することが推奨されます。系統周波数変動が±1Hz 程度であれば、帯域を 10Hz に設定することで安定した同期制御が可能となります。

本モデルにおける最終的な性能指標として、THD は 3% 未満、動的応答時間は約 0.1 秒を達成しています。実機実装においては、サンプリング遅延やデッドタイム補償などの要素が追加されるため、シミュレーション結果との差異に留意する必要があります。

タグ: Simulink PV Inverter LCL Filter MPPT Algorithm Control System

7月29日 22:01 投稿