Linuxディストリビューションにおいて、高機能かつ拡張性に優れた入力法フレームワークとして知られるFcitx5は、EndeavourOSのようなArch系システムでも安定して動作します。以下は、英語デフォルトのEndeavourOS上で中国語入力を実現するための包括的な手順です。
Fcitx5コアパッケージのインストール
公式リポジトリから必要なコンポーネントを一括で導入します:sudo pacman -S fcitx5 fcitx5-gtk fcitx5-qt5 fcitx5-configtool fcitx5-rime librime
各パッケージの役割:
fcitx5:メインの入力法エンジンfcitx5-gtk:GTKベースアプリケーション(GNOME系やFirefoxなど)との連携に不可欠fcitx5-qt5:Qt5アプリ(KDE Plasma、qBittorrentなど)での文字入力安定化に必須fcitx5-configtool:GUI設定インターフェースfcitx5-rime+librime:Rimeエンジン統合用モジュール
Waylandセッションでの環境変数設定
KDE Plasma(Wayland)では、単に設定アプリでFcitx5を選択するだけでは、Electron製アプリ(例:WeChat、Slack)で入力が有効になりません。以下の環境変数をセッション全体に適用する必要があります。~/.config/plasma-workspace/env/ime.sh を作成し、次のように記述:
#!/bin/sh
export GTK_IM_MODULE=fcitx5
export QT_IM_MODULE=fcitx5
export XMODIFIERS="@im=fcitx5"
export SDL_IM_MODULE=fcitx5
export GLFW_IM_MODULE=fcitx5
ファイルに実行権限を付与後、ログアウト→再ログインで反映されます。
UIテーマの適用
AURからダークテーマを追加:yay -S fcitx5-skin-adwaita-dark
その後、~/.config/fcitx5/conf/classicui.conf を編集:
[General]
Vertical Candidate List=false
PerScreenDPI=false
[Appearance]
Font=Noto Sans CJK JP 12
Theme=adwaita-dark
※日本語フォントを指定することで、漢字表示の品質と互換性が向上します。
Rime辞書の展開と万象入力法の導入
AUR経由でRime向けの更新ツールをインストール:yay -S rime-wanxiang-updater
実行後、メニューから「全辞書を更新」を選択。完了後、fcitx5-remote -r でエンジンを再起動すると、万象特有の時刻・日付・節気などのショートカットが利用可能になります。
候補リスト操作のカスタマイズ
ページ送りをカンマ(,)とピリオド(.)で制御するには、~/.local/share/fcitx5/pinyin/rime/default.yaml の bindings セクションに以下を追加:
- { when: composing, accept: comma, send: Page_Up }
- { when: composing, accept: period, send: Page_Down }
特殊文字の高速入力
Rimeの拡張機能により、スラッシュ(/)から始まるコードで即座に変換可能です。代表的な例:
/rq→ 今日の日付(例:2024-06-15)/sj→ 現在時刻(例:14:28:03)/yd→ 「・」(中点記号)/dt→ 「2024-06-15 14:28」/rc7p→ 7日後の日付/jq→ 次の節気(例:夏至)//→ スラッシュ文字そのもの